中部化研工業株式会社|取扱いのお願い|パテ専門メーカー
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『Legend.I』を快適にご使用いただくために
平素は、当社製品『Legend.I』パテをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
特殊配合パテ『Legend.I』パテシリーズは、いままでに無い特殊な樹脂・粉体・低収縮剤などを使用しており、従来のパテや当社の他製品と異なる性質を有しています。長所としては、
1.無収縮(用法・用量を守った場合)
2.柔軟性と追随性(硬化後しばらくの間)
3.強密着性(強密着性樹脂を使用)
4.耐熱性(150℃~180℃でトータル約30分間)
5.速乾燥性(超高反応性樹脂を使用)
6.高研磨性(サクサク研磨可能)
7.主剤同士ブレンドが可能(欲しい粘度に調節可能)
など、従来製品を遥かに凌ぐ得意点を有しています。そのかわり、短所としては、
- 貯蔵安定性が劣る(貯蔵時や輸送時に高温や高低温の差に弱い)
- 高価(通常の製品と比較して)
などがあります。
長所・短所とも、通常で使用する原材料ではない特殊な原材料を使用することにより生まれるもので、例えば特殊な低収縮剤と超高反応性樹脂を使用することにより1.無収縮と5.速乾燥性が生じ、強密着性樹脂と超高反応性樹脂を使用することにより3.強密着性と4.耐熱性が生じ、また、特殊な粉体類を使用することにより、2.柔軟性と追随性や6.高研磨性を附与しています。
反対に超高反応性樹脂や特殊な低収縮剤・粉体類を使用することにより①貯蔵安定性が劣るという面も出てきてしまいます。さらに、汎用原材料ではないため、②高価になってしまいます。
これらはたいへん不本意ではありますが、多くの皆様にご好評をいただいているこの性能を維持しつつ貯蔵安定性の改善に努力しているところです。
具体的には、貯蔵安定性を悪くする要因として、
- 高温(貯蔵時・輸送時に高温に置かれること)
- 温度差(貯蔵時・輸送時の高温・低温の温度差が激しいとき)
- 缶の密閉(缶が密閉されず、空気に接触している場合)
- 異物との接触(金属粉や研磨粉、錆などとの接触)
などが挙げられます。
(1)貯蔵時や輸送時に高温化に置かれると、パテ中の溶剤(スチレンモノマー)と樹脂分・低収縮剤や硬化促進剤などが揮発して缶の中に溢れ、フタの裏や縁に付着してしまいます。
それが、徐々に冷え、また繰り返されると当然ですが、硬化促進して缶のフタの裏に結晶を作り、フタが開かなくなり、また、氷柱状に結晶ができます。
これは、(2)高温・低温の温度差が大きければ大きいほど温度ストレスは大きくなり、より早く症状が進んでしまいます。
新品のフタを開けようとしたらフタが開かず、無理やり開けたらビッシリ結晶ができていたというケースは、この温度ストレスが原因です。
これらは硬化促進がすでに始まっていますので、完全硬化ではなく不完全硬化で缶中の硬化も進み、パテは変質していきます。
(3)缶がしっかりと密閉されず、空気に接触している場合は高温時と同様に、溶剤・樹脂分・低収縮剤・硬化促進剤などの揮発が進みやすくなります。
従って、同様に氷柱状の結晶が発生し、製品の変質が生じます。また、開いていれば、不純物(異物)の混入も起こりやすくなります。
異物が混入すると、例えば、金属粉や研磨粉・錆などが混入してパテと接触した場合、硬化促進が始まり、不完全硬化していきます。
完全反応は行われないため、完全硬化は起こりませんが、徐々に変質していき、使用不可能となります。
僅か一滴や針の先ほどの異物との接触でも充分起こります。
実際としては、茶色っぽく変色してきます。茶色に変質している場合は、何らかの異物が混入したと考えて間違いないでしょう。
また、氷柱状の結晶ができ、さらに一部茶色に変質している場合は、高温(温度ストレス)と異物の混入の両方が起こった可能性が高いと思われます。
このような現象は、防止することが可能です。
高温(温度ストレス)による溶剤などの揮発から生じる氷柱状の結晶現象は、ほぼ100%夏期に起こります。
4~6月頃当社から出荷した製品が6~8月に使用され、9月頃発生します。
これは、夏場に極めて高温となるため集中して発生していることを示しています。
従いまして、この5~8月の期間に気をつけていただければ防止が可能となります。
また、異物の混入による不具合は、年中起こり得ることですが、やはり気温の高い夏期は特に注意が必要となります。
以下、不具合防止のために気をつけていただくポイントを列挙いたします。
ユーザー様へのお願い
- 貯蔵保存は、直射日光の当たらない冷暗所で、かつ温度変化の少ない場所でお願いします
- 移送時は、直射日光の当たらない方法でなるべく速やかにお願いします
- 缶のフタは完全に密閉し、ヘラでパテを取り出す際に、缶の縁で拭わないようにお願いします(缶の縁にパテがついていると完全密閉の妨げになります)
- できれば、缶からパテを取り出す専用のヘラを用意して、硬化剤と混合してパテ付けするヘラと分けて使用する(ヘラを分けることによりヘラに付着した僅かな硬化剤の混入を防ぎます)
- 缶の中の胴部(横部)についたパテをついたままにしないで中に毎回落としておく(缶の胴部に付着したパテを落とすことにより空気との接触面積を少なくし揮発を防止する)
- 缶のフタの上に硬化剤のチューブを置かないようお願いします
- パテの使用中でも缶は常に冷暗所に置いてください
販売店様へのお願い
- 貯蔵保存は、直射日光の当たらない冷暗所で、かつ温度変化の少ない場所でお願いします
- 輸送時は、直射日光の当たらない方法でなるべく速やかにお願いします。自動車内は冬場でも50℃以上の高温になることがございますので特に注意をお願いいたします(夏期は特にご注意を)
- 自動車内での貯蔵保存は絶対お止めください
- 先入れ先出しの徹底をお願いいたします(パテは生物(なまもの)と同じです。時間が経つと密着性や乾燥性・収縮性や粘度など変化しますし、場合によっては変質します) ご協力お願いいたします
- 上記【ユーザー様へのお願い】のご案内をお願いいたします
以上が当社からのお願いです。勝手なお願いではございますが、もしこのお願いをお守りいただければ、『Legend.I』パテの貯蔵安定性は大幅に改善します。現に貯蔵安定性でお悩みのお客様が、お守りいただくことによって改善したというお話も多数いただいております。
『Legend.I』パテは非常に特殊な特性を持った製品です。
このような特殊な癖(くせ)を有しており、当社としましても、発売以来年々貯蔵安定性の改善を試みてきて実質貯蔵安定性はかなり向上してきました。
特殊原材料を止め、一般の原材料に変えれば、このような保存安定性の不具合はすべて解消されますが、同時に有していた特性も失われてしまいます。
メーカーとして、特性の維持と貯蔵安定性の向上の両立ができれば一番良いのですが、原材料の特性上、常に反比例するものであり、その落し所が一番難しく中途半端になってしまうことも多々あるかと存じます。
今後も特性をさらに発展させ、かつ貯蔵安定性の向上に一生懸命努めてまいりますので、何卒ご協力・遵守の程よろしくお願い申し上げます。